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OJTを継続してもらうには

~“小さな箱を積み上げていく”ことの大切さ~

 

 

新入社員の育成のためのメモ帳を創ろうと思い立った頃、

参考になった友人の言葉があります。

それは、私が

「毎日忙しくてあっという間に1週間、2週間が過ぎるんだよね。

 こんなんじゃ、人生なんて、あっという間かもね」

と諦めとも愚痴ともいえない話題を口にした時に、

友人がこんなことを話してくれました。

「スケジュール帳に余白とか結構ある?

 毎日寝る前に、今日一日を振り返って、思ったことを余白に書くといいよ。

 3行ぐらい20文字ぐらいでいいから。

 1日1日を刻んでいくような感覚になって、意識が変わるよ」

聞いた時に「そんなもんかな?」と半信半疑でした。

 

それから、毎日寝る前に、心を落ち着かせて、

じっと今日一日を振り返ってみました。

「顧客からこんなこと言われて、ちょっと嬉しかったな」

「この仕事は、次やる時はこうした方がいいな」

「今の自分に何が足らないんだろう」

といった事をスケジュール帳に書き込んでいきます。

 

すると、今まで川の流れのように滔々と流れていた日々が、

1日1日が箱のように積みあがっていく感覚に代わったのです。

毎日が鮮明に見えるようになったのです。

 

その時

「これだっ!!!」

と思いました。

 

「OJTが継続できていない」

「上司に“部下指導研修”受講させて、なかなか実践しない」

といった人材開発担当者の声をよくお聞きします。

私が、1日1日の振り返りをスケジュール帳に記入して、

記憶や印象が鮮明になったように、

新入社員に、1つ1つの仕事を記入させれば、

記憶や印象を鮮明になるのではないか?

そうすれば、様々な学びや気づきを獲得しやすくなるのではないか?

と思いました。

『casica』では、

仕事1つ1つを書き、考え、

完了報告後、指示者からのフィードバックを記入、

自分で振り返るというサイクルをフレームにしました。

 

(人生全般そうなのかもしれませんが)

人間が何かを取り組む時、まず認知することが必要です。

認知するためには“鮮明にすること”が大切です。

大きな箱にとにかくどんどん入れるような大雑把なやり方だと

認知できません。

それよりも一つ一つの仕事(タスク)を小さな箱に入れるような

そのようなやり方の方が認知できます。

 

小さい箱のように、細かく。

そうすれば、振り返る事もできます。

大雑把だと振り返りしにくいのではないでしょうか?

 

また、その小さな箱を積み上げていくことで、

今自分がどこにいるのか?

ありたい姿にあとどのくらいで到達できるのか?

わかります。

 

OJTの継続性とは、

「小さな箱を積み上げていく」

という事ではないのでしょうか?

 

『casica』を使って、新入社員が職場で体験したことを

小さな箱を入れて、

それを真摯に、地道に、積み上げていく。

そんなことを願っています。

 

松本 宜大