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今どき、紙にこだわった理由

~昔の職場にあって、今の職場に無くなった大切なこと~

casica』はメモ専用のメモ帳です。

1月のリリース以来、

様々な企業の人材育成担当者の方に『casica』についてお話すると、

こんなことを言われます。

 

「今の新入社員は書く事に慣れてないよね」

「紙よりもアプリの方がいいんじゃない?」

といった声です。

 

開発中に、このようなご意見は想定しておりました。

しかし、あえて“紙”にこだわりました。

もちろん、「書いた方が覚える」「共有しやすい」といった理由があります。

それ以外に、新卒で入った会社で体験した

“ある大切なこと”を実現したいと思ったからです。

 

私は新卒で、とあるメーカーに入社しました。

配属されてから、しばらくして

先輩から

「営業は、見積書とか作らないといけないんだよ。どういうものか見たことある?」

と聞かれ、当たり前ですが、

「無いです。」

と答えると、先輩は

「そこのロッカーにさ、過去のいろんな見積書が入ってるからさ、

暇なときにパラパラ見ておいて」

と言われました。

暇な時に見ていると、いろいろなことがわかりました。

・見積もりのフォーム

・見積もりの項目にどんなものがあるか

・どんな顧客が多いのか

・納品予定日にバラツキがあること

・どんなオプションが多いのか

そして

・初回値引きだけでなく、恒常的に値引きがされていること(!)

など、いろいろなことがわかりました。

 

しかし、今このような事は少なくなってきているようです。

個人情報保護、情報管理の効率化(ペーパーレス化)の観点から、

紙ファイルからデータ化が進み、このような情報を接する事が出来なくなってきています。

しかし、その事によって

今いる社員にとって、

「その職場で行われているビジネスのやり取りや流れ」

「その職場での、先輩の仕事ぶり」

が見えなくなっています。

職場にとって大切な“ナレッジ(知識)”が継承されにくくなっているのです。

 

casica』はナレッジの継承にも役立ちます。

新入社員が使った『casica』をその職場で何らかの形で見えるようにしておくことで

いつでもナレッジを知ることが出来ます。

 

例えば、仕事一つ一つを記録した『casica』を次に来る新入社員を見せれば、

「去年の先輩はこんな仕事をしていたんだ」

「こんな失敗をしたんだ」

「半年ぐらいたつと、こういう仕事をするんだ」

ということがわかります。

このことで、新入社員にとって

去年の新入社員のナレッジを知ることが出来るだけでなく、

近い将来の見通しがつくのではないのでしょうか?

 

あなたの職場には、職場のナレッジを誰かに継承する、

そんな仕組みをお持ちでしょうか?

 

松本 宜大